井関准教授のAIを活用した癌治療に関する研究が日本ハイパーサーミア学会 研究奨励賞を受賞しました。


 井関祐也准教授が令和3年度日本ハイパーサーミア学会研究奨励賞を受賞しました。本賞は、ハイパーサーミア領域における学問または技術の発展を目的とする研究を行おうとする正会員1名に対して研究費の一部を援助することを目的とするもので、賞状と研究費10万円が贈呈されました。

 癌を熱によって治療するハイパーサーミアでは、治療中の体内温度分布を計測することが困難とされています。井関准教授はこれを解決するため人工知能(AI)と超音波画像によって体内温度分布の「見える化」を行う手法を考案しました。
 本手法はGAN(Generative Adversarial Network:ギャン,ガン)を応用しています。GANは「生成器」と「識別器」と呼ばれる役割の異なる2つのAIから構成されています(図1)。前者は贋作作家、後者は鑑定士に例えられます。贋作作家は模擬したいデータを模倣してデータを生成します。贋作作家は鑑定士を欺こうとより本物らしいデータを生成するように学習し、それに負けないよう鑑定士も目を養います。つまり、生成器と識別器がお互いを出し抜こうと成長していきます。このようなやり取りを複数回こなすことで、本物と見紛うレベルの画像を生成することが可能となります。
 これを応用することで、治療中の超音波画像から未知の体内温度分布を予測することが可能となります。今後、AIの改良やより人体の構造を再現した実験などを通し臨床応用に向けた研究を進めていきます。
 なお、本手法に関する研究成果は、9月3日に開催された日本ハイパーサーミア学会第38回大会(遠隔会議)で発表されました。
 地元新聞掲載記事はこちらをご覧ください。

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GANのイメージ

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